はじめに
2025年秋から放送されるNHK連続テレビ小説『ばけばけ』は、明治時代の島根県松江市を舞台にした、温かくも切ない人間ドラマです。
物語の中心にいるのは、怪談が大好きなヒロイン・松野トキ。彼女は、かつて上級士族だった家に生まれながらも、明治維新後の時代の荒波に翻弄され、貧しい生活を送ることになります。そんな彼女が出会うのは、ギリシャ出身のアイルランド人英語教師、レフカダ・ヘブン(小泉八雲をモデルにしたキャラクター)です。
異国の地から来た彼と、ひとりの日本人女性が心を通わせ、共に歩んでいく姿が描かれます。

「実在モデル+フィクション」だからこそ、史実の重みと物語の面白さが両立!
この作品の脚本を手がけるのは、ふじきみつ彦氏。彼の得意分野は、派手な事件ではなく、日常の何気ない時間や、そこに潜む感情の揺れを描くことです。『ばけばけ』でも、大きな戦争や革命といった出来事よりも、普通の人々の小さな日常を丁寧に描写します。
トキは、父の事業失敗による生活苦、女性が社会で生きにくかった時代背景、そして急速な近代化による価値観の変化と向き合いながら、自分の道を模索していきます。視聴者は彼女の姿を通して、何も起きない日常にこそ隠されたドラマを感じられるはずです。



平凡な日常=つまらない、ではない。そこにこそ人間らしいドラマがある。
物語の大きな転機は、トキがヘブンの家で住み込みの女中として働き始めること。
当時の日本では、外国人に対する偏見が根強く、ヘブンも周囲から冷たい視線を向けられます。しかし、トキはそうした壁を恐れず、仕事を通じて彼と少しずつ心を通わせます。
二人が夜な夜な語り合う怪談話は、単なる娯楽ではなく、お互いの文化や価値観を知るための大切な時間となります。怪談をきっかけに笑い合い、時に涙することで、二人の絆は強まっていきます。



怪談=恐怖だけじゃない。人と人をつなぐ“文化の糸”として描かれる。
あらすじネタバレ(中盤以降)
トキの人生は、松江だけでは終わりません。夫婦となった後、二人は熊本、神戸、東京へと移り住みます。これは史実の小泉セツと八雲の人生に沿った展開ですが、ドラマでは各地での生活をよりドラマチックに描きます。
例えば熊本への移動では、長旅で出会う人々や、異国の文化に戸惑う場面が加わるでしょう。これによって、ただの引っ越しが“人生の節目”として印象的に演出されると考えられます。



史実+脚色で、歴史ドラマの枠を超えた“心の旅路”を表現。
また、史実では1891年に同居を始め、1896年に正式に入籍した二人の結婚も、ドラマでは感情移入しやすい形で脚色されます。
ヘブンが外国人として抱える孤独、トキが女性として感じる社会的制約──そうした葛藤を共有する過程で、二人は強い信頼を築きます。さらに、ドラマオリジナル要素として二人だけの特別な言葉(ヘルン言葉)が登場し、親密さを象徴します。
恋愛ドラマとしても見応え十分な展開になりそうです。



事実を知っていても涙する──そんな恋愛パートが期待できる
背景として描かれるのは、明治期の急速な近代化と、それによって失われつつあった日本の伝統文化です。
ヘブンは西洋の教育や文化を伝える一方で、日本の怪談や民話を深く愛し、記録に残しました。トキはその伝承者として、夫の作品作りに大きな影響を与えます。
こうした文化交流の姿は、現代にも通じる普遍的なテーマとなっています。



恋愛+文化交流=朝ドラならではの普遍的テーマ。
最終回の結末予想
最終回では、トキとヘブンが共に歩んだ年月を経て、互いの存在を人生の支えとして確立している姿が描かれるでしょう。
激動の時代、異文化の中で生き抜き、周囲の偏見を乗り越えた二人。トキは怪談好きという自分らしさを大切にしながら地域に新しい価値観をもたらし、ヘブンは日本社会の一員として根を下ろします。
そのラストシーンは、大きな事件ではなく、二人が静かに怪談を語り合う日常のひとコマ──そんな“静かな感動”で締めくくられる可能性が高いです。



最終回は“静かな感動”──派手さより余韻が心に残るラストに
まとめ
『ばけばけ』は、史実を尊重しながらもフィクションを巧みに取り入れ、明治の女性と外国人男性の出会いと成長を温かく描いた作品です。
大きな事件よりも、日々の暮らしや小さな出来事の積み重ねを大切にし、恋愛、家族愛、文化交流といったテーマを丁寧に紡ぎます。
視聴者はトキとヘブンの物語を通して、時代を超えて共感できる“人と人とのつながり”の尊さを感じられるでしょう。
放送開始後は、史実との違いや演出の工夫、そして最終回の描かれ方にも注目です。



『ばけばけ』史実の温もり×フィクションの面白さ。
見逃せない秋ドラマです!







